諫早湾と有明海の再生を!

〜シンポ「諫早を考える」〜






 日本湿地ネットワーク(JAWAN。辻淳夫代表)と諫早干潟緊急救済本部(山下八千代代表)は9月5日、「諫早を考える」と題したシンポジウムを長崎県諫早市で開きました。地元長崎のほか、埼玉、千葉、愛知、大阪、兵庫、徳島など全国各地から約100人が参加しました。

 主催者あいさつでは、山下八千代代表が「民主党の菅代表代行は『諫早湾事業を見直す』と言明している。民主党の農水担当と交渉の場を持ちたい」と述べました。

 基調講演は、鹿児島大学の佐藤正典教授による「故山下弘文氏と歩いた諫早湾の美しい泥干潟」です。佐藤教授は、泥干潟の諫早干潟は生物の宝庫だったことや、有明海の干潟はいまでも泥干潟特有の生物相が生き残っていることなどを強調しました。また、「いま、諫早湾の閉め切り堤防内に海水を入れて潮汐を戻してやれば、干潟は生き返る」「日本一の干潟を取り戻せば、有明海と漁業は復活する」と力をこめました。

 つぎは、有明海漁民・市民ネットワークの時津良治氏が、映像を使って諫早湾干拓事業の現状を報告しました。諫早湾干拓事業が完成し、現在、干拓農地で営農が始まっていることや、諫早湾海域で赤潮が発生し、養殖アサリの大量死など、漁民の死活問題に直結する事態が依然として続いていることを話してくれました。潮受け堤防の内側に設けられた調整池では、今夏も有害なアオコが発生していることも話しました。そして、「漁業者は有明海再生のため、一日も早い開門しかないと訴えている」と述べました。


■漁師から開門調査を求める発言が相次ぐ

 シンポのあとは、大阪憲法ミュージカル「ムツゴロウ・ラプソディ」のメンバー約30人がダンスと歌を披露しました。 「ムツゴロウ・ラプソディ」は、諫早干拓事業を題材にした地球の生命の物語です。全国各地を公演してまわり、諫早干拓という公共事業の是非を広く世間に訴えつづけています。

 感動的なミュージカルのあとは、各地の活動報告と交流です。福岡市の「和白(わじろ)干潟を守る会」などが湿地保全活動を報告したあと、有明海で漁を営む何人もの漁師から発言が相次ぎました。

 「私は諫早干拓事業に賛成していた。しかし諫早湾が閉め切られたあと、有明海の漁業が大打撃を受けたために反省し、かつての海をとりもどすためのとりくみに参加している。長年の経験から、有明海の異変は諫早湾の閉め切りが原因だと確信している。」
 「私たちは自然に恵まれて生活してきた。しかし、有明海の漁業にとっていかに干潟が大切かということについては、何も考えていなかった。諫早湾の閉め切り以降、有明海の環境が激変し、そこではじめて干潟の大切さがわかった。」  「何としてでも、排水門の開門調査をやらせたい。今回の政権交代でひとすじの光明が見えた。みなさん、がんばりましょう」

 こんな発言が続き、会場は大きな拍手に包まれました。
 翌日(6日)は、干拓地や調整池、潮受け堤防などを見学しました。

















佐藤正典教授の話に聞き入る参加者




ミュージカル「ムツゴロウ・ラプソディ」




潮受け堤防。右は諫早湾、左は汚濁がひどい調整池。水の色がまったく違う。






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