生物災害を未然に防止するために

〜バイオハザード予防市民センターの紹介〜

バイオハザード予防市民センター 長島 功





 当センターは、故芝田進午広島大学名誉教授の呼びかけで、1999年3月に設立されました。
 当時は予研=感染研裁判が係争中で、芝田氏は同裁判の原告団長を務めておられました。設立当初の名称は、「バイオ時代の安全性・環境研究センター」でしたが、活動の目的をより明確にする意味で「バイオハザード予防市民センター」と改称しました。

 すなわち、当センターの目的は、バイオ時代に特有の公害ともいうべきバイオハザード(生物災害)を未然に防止し、バイオ時代の人権を擁護することです。具体的には、(1)病原体等実験施設や遺伝子組換え実験施設(両者をまとめて「バイオ施設」という)の安全性を求め、同施設から排出される有害物質から周辺住民を守ること、(2)さまざまなワクチンや医薬品の副作用から国民の生命を守り、いわゆる薬害を未然に防止するとともに、薬害訴訟を支援することを軸に活動を進めてきております。また情報・研究センターとしての役割を果たすために、年6回にわたってニュースレター『バイオ時代の人権と環境』を発行し、現在のところ65号にまで至っております。

 当センターが取り組んだ最初の活動は、予研=感染研裁判を理論面から支援することでした。具体的には、同裁判に必要な法的書類を準備したり、証拠書類を提出することです。また同時に進められていた高槻JT裁判も支援してきました。
 そしてこれらの裁判が終結した後、バイオ施設の安全性に関する総括を行うために、『法的な基盤整備を含めたバイオハザード対策の社会システム構築のための提言活動』という報告書をトヨタ財団の支援を受けて作成しました。また当時はまだ広く理解されていなかった「バイオハザード」という言葉に関する一般向けの啓蒙書『教えて!バイオハザード』を出版しました。

 最近では、SARSや鳥インフルエンザ・新型インフルエンザなどの新しい感染症が発生し、国民に不安を与えていますが、この問題に関してもいたずらに国民に不安を煽り立てるマスコミの報道姿勢を批判するとともに、ワクチン接種やタミフルなどの抗インフルエンザ薬の投与の弊害を警告する活動を行っております。
 またバイオ施設の移転や新設問題が浮上してきたことも最近のことです。国立医薬品食品衛生研究所が府中の米軍跡地に移転してP3施設を新設する計画を進めています。さらに武田薬品工業が神奈川県の藤沢市と鎌倉市にまたがる同社の敷地に巨大な医薬品研究所を建設しています。同社は今年の3月には竣工式を予定し、4月からの稼動開始を目論んでいます。この間、当センターでは、この両地域の住民の主催する学習会に講師を派遣するなど、住民運動の支援を行ってきました。

 今後は、引き続きインフルエンザに関する啓蒙を行うとともに、バイオ施設の安全性の確保のための提言を行っていきたいと考えております。

(2011年1月)




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