セシウム汚染汚泥・焼却灰を水源地に入れるな!


放射性物質から生命(いのち)を守る市民の会

代表 山田周治







■私たちの切実な要請に対し、
  県は「国の通知に従っていく」を繰り返した

 君津地域の水源地にある2つの管理型廃棄物最終処分場(大福山の君津環境整備センター=新井総合、大塚山の大平興産)には、3・11の福島原発事故以来、放射性セシウムに汚染された汚泥と焼却灰が次々と搬入されている。国からの6・16通知以前は上限なし、通知以降は8,000ベクレル/s以下の汚泥と焼却灰である。すでに、各20,000トンが埋め立てられている。
 私たちは昨年11月8日、「放射性物質から生命を守る市民の会」を結成し、11月28日、10,224筆の署名を添えて、千葉県知事に対し次のような要請書を提出した。
     「小櫃川は富津・君津・木更津・袖ケ浦・市原の5市・35万人の水道水の資源である。また小櫃川(おびつがわ)や湊川の水は、中・下流域で主に水田の農業用水として使われている。セシウムはどうやっても消えずに、8,000ベクレルのセシウムが100ベクレル以下になるには200年かかる。汚泥を焼却すれば煙突からセシウムが周囲に拡散し、移動すれば移動先が汚染する。ましてや水溶性のセシウムを水源地に、しかも大量に持ち込むなど愚の骨頂である。知事は水源地への放射性セシウムの搬入を直ちに中止し、排出した東電と原発を推進した国に厳重な管理を求めるべきである」
 当日、要請に対応した廃棄物指導課長との1問1答を要約すると、次のとおりであった。
    【Q】私たちの水道水源地にどんどんセシウムを入れているが、将来どうなるのか。水源地にセシウムを埋め立ててもかまわないと、知事が判断したということか?

    【A】搬入は、国が6月に示した「放射性廃棄物の処分についての考え方」に基づき、搬出方と受け入れ方で行われている経済行為である。私どもはそれをどうこう言う権限を持っていない。事業者に対しては、自主管理規定を作って受け入れるように指導している。

    【Q】8,000ベクレルまでという国の「考え方」を受けて、山形県は4,000ベクレル、横浜は3,500ベクレルまでなら埋めると判断した。また、埋め立てをしていない県も多い。そういう中で、8,000ベクレルまでは水源地でも埋めてよい、という県の判断は誰がしたのか?

    【A】行政としては入れるとか入れてはいけないとかという判断はしていない。他県の状況はわからない。(セシウムで汚染された)汚泥や焼却灰は受け入れてもらいたい。受け入れるというのは経済行為だ。 
 要請書に対する知事の回答は「12月県議会終了後の年内に」とのことであった。ところが、12月22日に突然、廃棄物指導課の担当課員から電話があり、「県としては先日お答えした内容と変わりはない」という回答があった。口頭での回答は不確実にすぎるので、いかなる内容であれ、書面による回答を求めたが、新年を迎えた1月6日の再度の要求にも、書面による回答を渋ったままとなっている。


■署名は16,000筆を突破!

 群馬県伊勢崎市の最終処分場ではすでに昨年9月、排水から国の基準を超える放射性セシウムが検出されている。そのほか群馬県草津市、栃木県那須塩原市、秋田県小坂町などの最終処分場で、排水から放射性セシウムが検出されたという報道もある。予想外に速い速度で、放射性セシウムは、汚泥や焼却灰から水に溶け出しているのだ。35万人の水道水源である小櫃川に放射性セシウムが流れ出るのも、時間の問題だと考えていいだろう。
 水に溶けて体内に入った放射性セシウムは、たとえ低線量でもごく近距離から細胞に放射線を浴びせ続け、ガンを発症させ、遺伝子を破壊するのだという。だから、放射性物質に閾(しきい)値はないのだという。
 私たちは、もっともっと放射性セシウムの怖さを直視しなければならない。そして、なんとしても、これから成長する若い世代、その次の世代の市民たちが被曝する危険性を、防がなければならない。
 署名は12月末で16,000筆を突破した。その後も続々と寄せられている。いま私たちは、市民のこの声を早急に県に届けて、市民からの切実な要請書を提出する準備を進めている。

(2012年1月)









「放射性物質から生命を守る市民の会」結成集会 に110人が参加=2011年11月8日




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