利根川の遊水地を見学

〜八ッ場ダムはいらない〜







 全国自然保護連合と「自然と環境を守る全国交流会」は(2012年)4月28日、利根川下流部に設置された調節池(遊水地)を見学しました。田中・菅生・稲戸井の3つの調節池のうち、田中調節池(千葉県柏市、我孫子市)と稲戸井調節池(茨城県守谷市、取手市)です。調節池を見学したあと、地元の方と意見交換しました。


■八ッ場ダムの治水容量(計画)をはるかに上回る

 八ッ場ダム問題はいま、利根川の治水対策が最大の焦点になっています。そこで、ダムによらない治水対策を考えるため、調節池を見学しました。
 3つの調節池は、利根川の治水対策の一環として整備されたものです。これらの調節池の治水容量は、現況で計1億840万m3です。これは八ッ場ダムの治水容量(計画)6500万m3をはるかに上回ります。
 3つの調節池は、ふだんは農地などとして利用されていて、大洪水のときだけ灌水(かんすい)するようになっています。稲戸井調節池には湿原や河川林もあり、動植物の貴重な生息地ともなっています。野鳥観察も行われています。
 地域の暮らしや文化、自然、景観を破壊しないという点や費用対効果では、ダムより遊水地のほうがはるかに有効です。
 じっさいに千葉県市川市では、環境団体が「コンクリート構造物によらない治水対策」を求めて30年余も運動をつづけた結果、「自然環境の保全・復元」や「動植物に触れ合える環境学習の場」を兼ねた調節池(遊水地)づくりが進んでいます。はっきりいって、ダムに頼る治水は時代遅れです。


■ダムをやめて遊水地を増やすべき

 調整池を見学したあと、我孫子市の湖北台市民センターで地元の方と意見交換をしました。こんな意見がだされました。
    「現地をみて、“ダムをやめて遊水地を増やすべき”を確信した」

    「利根川の治水で緊急に求められているのは堤防補強と避難対策だ。それを基本としながら、遊水地を増やせばいい。何十年たっても完成しないダムはやめるべきだ」

    「農地を増やす必要がなくなったので、遊水地もつくりやすくなった。ふだんや農地や緑地、公園などと活用し、洪水のときだけ灌水するようにすれば、地権者や住民の理解を得やすい。先人の知恵に学び、ダムではなく遊水地づくりに力を注いでほしい」








田中調節池の越流堤。約3m低くなっていて、洪水時はここから水が流れ込む



左は田中調節池の越流堤。越流堤の右は利根川の河川敷



田中調節池は、ふだんは優良農地となっている



排水機場。田中調節池が灌水した場合はここで排水する



稲戸井調節池の越流堤。越流堤の右は調節池、左は河川敷



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