リニア新幹線計画は凍結を

〜沿線住民ネットワーク結成集会に335人〜







 (2013年)2月10日、リニア新幹線沿線住民ネットワーク結成集会が神奈川県相模原市で開かれました。参加者は超満員の335人です。

 リニア中央新幹線は、東京−名古屋間を2027年、東京−大阪間を2045年に開業する予定になっています。現在は、路線予定地で環境影響調査が進められています。

 リニアは問題だらけです。事業者のJR東海は、リニアに関するくわしい情報を住民に公開しません。関係自治体の議会でもほとんど議論されていません。

 こうした中で、山梨、長野、神奈川、岐阜、東京などの沿線各地で住民が「リニアを考える会」を結成し、さまざまなとりくみを進めています。ネットワーク結成集会は、沿線各地の「考える会」や住民の連携を強めるために開かれました。


脱原発社会にリニア新幹線は必要ない

 最初は、広瀬隆さん(科学ジャーナリスト)による講演です。演題は「脱原発社会にリニア新幹線は必要か」です。
 時速500キロで走行するリニアは事故の危険性が非常に高いことを、具体的事実をあげて明らかにしました。また、南アルプスに長大なトンネルを掘ることによる地下水脈の枯渇や生態系への影響なども指摘し、「日本で最大の自然を誇る南アルプスの山を破壊する土建プロジェクト」「自然遺産の思想に逆行する時代錯誤のプロジェクト」ときびしく批判しました。
 さらに、リニア中央新幹線は、東海道新幹線の3〜5倍のエネルギーを必要とし、東海道新幹線と同じだけ走らせた場合は544万kWの電力が必要、という試算があることを紹介し、「電力消費を抑制しようとしているこの日本で、膨大な電力を浪費する鉄道などあってはならない」「リニア・プロジェクトが進めば、廃炉が決定的な浜岡原発の再稼働につながるので、金輪際許されることではない」と述べました。


沿線住民や団体が協同し、
  大きなうねりをつくりあげよう

 講演のあとは、広瀬さんと阿部修治さん(産業技術総合研究所)、橋山禮治郎さん(千葉商科大学客員教授)の間でパネル討論です。会場からも、運動の進め方などについて意見が活発にだされました。
 阿部さんは「リニアは多くの技術的弱点をかかえている」「事故のリスクも無視できない」「科学技術信仰が暴走しているのではないか」と指摘しました。
 橋山さんは「世界にリニアに関心があるのは日本だけ。需要も必要性も疑問だ」と述べました。

 最後に、「リニア計画に対して共通の思いを抱いている沿線住民や団体がおたがい手を携えて協同し、大きなうねりをつくっていこう」と訴える沿線住民ネットワーク結成宣言を採択しました。

 ネットワークに参加した団体は、「東濃リニアを考える会」「飯田リニアを考える会」「NO!リニア連絡会(長野県大鹿村)」「リニア・市民ネット」「リニア新幹線を考える相模原連絡会」「リニア新幹線を考える東京・神奈川連絡会」です。








335人が参加したリニア新幹線沿線住民ネットワーク結成集会



講師の広瀬隆さん(科学ジャーナリスト)



千葉商科大学客員教授の橋山禮治郎さん



産業技術総合研究所の阿部修治さん



あいさつする沿線地域の住民団体代表



★関連ページ

このページの頭にもどります
前ページにもどります

[トップページ]  [報告・主張] [動き] [決議・意見書] [全国交流会] [自然通信] [出版物]