指定廃棄物処分場候補地の撤回を求める

〜宮城県栗原市の市民団体が署名を提出〜







 環境省は、放射能の量が1kgあたり8000ベクレルを超える「指定廃棄物」の最終処分場を宮城、茨城、栃木、群馬、千葉の5県に建設することにしています。
 宮城県では、栗原市、加美町、大和町の3カ所の国有地を候補地して選びました。このため、1市2町の住民は猛反発です。反対の署名運動を進めています。
 栗原市では、「指定廃棄物最終処分場候補地の白紙撤回を求める栗原市民団体連絡会」が5月19日までに1万7713筆を集めました。翌日(20日)、その署名を環境大臣と総理大臣に提出しました。署名提出のあとは、記者会見と各党国会議員への要請です。この行動には、「千葉県放射性廃棄物を考える住民連絡会」からも4人が応援参加しました。
 環境大臣と総理大臣に提出した要望書では、「候補地の一帯の里山は、栗駒山国定公園に隣接し、栗原市の象徴であり、観光拠点として、自然環境が豊か」「山麓から湧き出る水は、栗原の耕土を潤すと共に、迫川流域の多くの市民の水道水として利用され、正に、栗原市民の命を育む生命線」「ひとたびこの深山嶽に指定廃棄物最終処分場が建設されれば、子々孫々まで観光産業のみならず、基幹産業である農業の振興にも甚大な影響を与える」とし、候補地の撤回を求めています。



要 望 書




2014年5月20日


 内閣総理大臣 安倍晋三 様
 環境大臣   石原伸晃 様


指定廃棄物最終処分場候補地の白紙撤回を求める栗原市民団体連絡会
代表 鈴木健三


   指定廃棄物最終処分場候補地として、栗原市(深山嶽)選定提示
   の白紙撤回を求める要望署名簿の提出について

 薫風の候 内閣総理大臣安倍晋三様におかれましては益々ご健勝でご活躍のこととお喜び申し上げます。
 去る2014年1月20日に環境省は栗原市深山嶽に指定廃棄物最終処分場を建設する候補地に指定いたしました。
 本日、私たち栗原市民団体連絡会は、栗原市民のいのちと未来を守るために「指定廃棄物最終処分場候補地として、栗原市(深山嶽)選定提示の白紙撤回を求める要望署名簿」を1万7713筆提出いたします。
 環境省の提示は、岩手・宮城内陸地震、東日本大震災と続いた未曾有の大災害から立ち上ろうと必死の思いで努力している栗原市の地域住民をはじめとする市民に対し、非情にも更なる負担を強いるものであり、到底承服することはできません。
 候補地の栗原市深山嶽は、国内最大の崩落とされる荒砥沢ダムに隣接しているだけでなく、大小数多くの崩落地が点在し、荒砥沢ダムに流れ込む小野松沢と花山ダムに注ぐ砥沢川があり、迫川流域(栗原市、登米市、石巻市)の水源となっており、地下水位が高く、冬期間は積雪、豪雪、凍結で立ち入りもできない不適地です。また、候補地の一帯の里山は、栗駒山国定公園に隣接し、栗原市の象徴であり、観光拠点として、自然環境が豊かです。山麓から湧き出る水は、栗原の耕土を潤すと共に、迫川流域の多くの市民の水道水として利用され、正に、栗原市民の命を育む生命線です。更に、近接する花山地区には国立花山少年自然の家があり、全国から沢山の子どもたちが集い、沢遊び、キャンプファイアなど自然を探索し、生き生きと学んでいます。
 ひとたびこの深山嶽に指定廃棄物最終処分場が建設されれば、子々孫々まで観光産業のみならず、基幹産業である農業の振興にも甚大な影響を与えます。また、「風評被害」にとどまらず、栗原市という地域の崩壊を招くのは火を見るより明らかです。
 以上、この不当、不適切、理不尽な理由により、私たち栗原市民団体連絡会は、指定廃棄物最終処分場候補地として、栗原市(深山嶽)選定提示の白紙撤回を求める要望署名簿を提出いたします。
 終りになりますが、今年は特別措置法(平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法)の見直しの年にあたります。全面的な見直しを要望いたします。








環境省の担当者に署名と要望書を手渡す「栗原市民団体連絡会」
の鈴木健三代表(右)=5月20日、環境省



記者会見する連絡会のメンバー=5月20日、環境省






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