「汚染土はいらない」「自然を壊すな」

〜千葉・鋸南町民350人がデモ行進〜







 南房総の玄関口、鋸南(きょなん)町では、汚染土壌処理施設計画をめぐって町ぐるみの住民運動が起きています。採石業者の鋸南開発(株)が採石場の掘削穴に汚染土を埋め立てる計画を打ち出しているからです。


許可違反を重ねたうえ、汚染土埋め立てを計画

 鋸南開発は掘削にあたり、許可条件では海抜13メートルまでだったのに海抜1メートルまで掘り下げ、約48万平方メートルの大穴を開けました。本来は場内の土砂で埋め戻さなければなりませんが、掘削穴を「汚染土処理場」に転用することを計画しました。147万立方メートルの汚染土で埋め立てるとしています。
 鋸南開発は、採石場で大規模に深掘りするという認可違反を重ねたうえ、「跡地の埋め戻しは場内発生土で行う」とした県への誓約書をホゴにしたのです。にもかかわず、県は「業者の手続きに問題はない」とし、汚染土処理場計画を許可する方針です。
 汚染土処理計画については、町民の8割が反対しています。漁業組合や地域団体などが反対決議をあげ、町議会も反対の意見書を採択しました。しかし、県は処理施設の着工を許可しました。


人口8300人の町で350人がデモに参加

 町民は、「こうした事例が許されれば、7カ所もの採石場を抱える狭い鋸南町は、汚染土最終処分場の町になりかねない」「観光の町が汚染土の町になってしまう」と危機感をつのらせています。
 (2014年)7月19日、汚染土壌埋め立て処理施設に反対するデモ行進が地元の鋸南町でおこなわれました。主催は、反対住民らでつくる「鋸南町の環境と子どもを守る会」です。町役場から採石場(汚染土壌埋め立て予定地)まで2kmを行進しました。
 350人の町民が参加です。約8300人の人口で350人も参加するのですからすごいことです。熱気むんむんでした。


2〜3カ月後に許可申請

 デモの出発式では、「守る会」の金木健治代表がこうあいさつしました。
     「汚染土埋め立て中止を求めるデモ行進はきょうで3回目となる。汚染土埋め立てを阻止するために住民運動をつづけてきたが、残念ながら、現場では工事にとりかかっている。しかしながら、汚染土埋め立ての許可はまだおりていない。工事が終わったら事業者が県に許可申請を提出し、許可がおりてから事業がはじまるかたちになる。そこで、これから2、3カ月のあいだ、やれるかぎりの反対運動を続けなければならない。みなさんにとっては、大きな負担になると思う。しかし、鋸南町の将来を考えると、汚染土の埋め立てを許すわけにはいかない。ご協力をよろしくお願いします」


自分たちの生活は自分たちで守ろう

 このあと、参加者は「鋸南開発は町民の声をきけ」「鋸南町の自然をこわすな」「鋸南開発は観光の町をつぶすな」「汚染土はいらない」「鋸南開発は事業をとりさげろ」の声をあげながら行進しました。
 コールの合間では、主催者がこんなことを町民に訴えました。
    「汚染土を埋めたら、いずれは川や田畑が汚染されます。海にも流れ出します。魚も心配です。そして、そういうものを食べて生活していく私たちや子どもたちも健康や命を脅かされます。汚染土の埋め立ては絶対に阻止しなければなりません」

    「周りを見てください。鋸南町は自然が豊かで、おいしい魚が食べられる。山のふもとで自然農業ができる。そういうことで鋸南町に移り住んできた人たちの家が建ち並んでいます。その人たちの希望や夢を裏切っていいのでしょうか。汚染土の山を目の前で見ながら、これから生活していくのでしょうか。私たちは絶対にイヤです。大切な自然を守るために、そして都会から来た人たちの生活を守るためにも、私たちは力をふりしぼって反対を続けます」

    「負の遺産である汚染物資は入れずに、安全・安心なまちづくりをきずくために、自分たちの生活を自分たちで守るという意識で闘いぬきましょう」

    「きょう集まった350人以上の町民の力を結集すれば、必ずや汚染土埋め立て事業を阻止することができます。事業を阻止し、町の活性化に勢いをつけるために、闘いつづけましょう」




「鋸南町の自然をこわすな」「汚染土はいらない」と声をあげながら行進



デモ行進は親子連れも目立った。



汚染土処理施設建設予定地に向かって「鋸南開発は観光の町をつぶすな」と声をあげる参加者



汚染土処理施設建設予定地の前で「鋸南開発は町民の声をきけ」などと唱和



「汚染土埋立て反対」のノボリや看板が町のあちこちに立てられている










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