■「自然と環境を守る全国交流会」参加団体


寒霞渓の自然を守る連合会









★突然降って湧いた「新内海ダム」計画

 国立公園第1号指定地区の中核をなし、渓谷美と風光明媚を世界に誇る、有名な小豆島・寒霞渓(かんかけい)の麓(ふもと)に、突然「巨大ダム」建設の話が降って湧き、遮二無二強行されようとしている。阪神淡路大震災までは既存の内海ダム(貯水量14万トン)の堰堤の強度に太鼓判を押していた県が、突然、「堰堤の改修をしたい」と言ってきたのが始まりである。
 かねてから堤防の修理を申し出ていた該当集落の住民は、「とにかく話を聞いてみよう」と何も疑わず耳を傾け、まず地質調査に賛同した。その途端に、巨大ダムである「新内海ダム」(貯水量106万トン)の計画が発表された。
 「あまり規模を拡張せずに堤防の補強を」と期待していた住民は、この計画に異議を申し立てた。しかし、行政側は「国の指導だから一歩も後には引けない」と強硬に住民に圧力をかけ、賛成の多数派工作を執(しつ)拗(よう)に繰り返した。そして町と県は、強引な作業で集めた8割の賛成署名を振りかざして国へ早期着工を迫り、付帯工事を強行して既成事実を作るのに躍起になっている。
 新内海ダムは、内海ダムの約50メートル下流に造る計画である。内海ダムを埋没させる形で約8倍もの大きさにしようとするものであり、まったく不釣合で不似合いな巨大計画である。
 もともと、対象河川の別当川本流は、昭和49年と51年に小豆島全島を襲った大災害時にもそれほど大きな災害はなく、死者は0(ゼロ)であった。この事実が証明するように、きわめて安全な流域である。つまり、氾濫や災害を発生させた支流や近隣河川の防災にはまったく無関係な場所であるにもかかわらず、強引に作業を進めようとしているのである。


■新内海ダムが完成すれば“小豆島の灯”が消える

 全長4キロメートルほどの別当川の中程に、問題の西日本一の堰堤(447メートル)の新内海ダムを建設すると、すぐ側(そば)を流れる小幅ながら同等の長さの「荒神川」と「青木川」の水も流れ込むことになる。それが原因で近い将来風評が発生し、その結果、小豆島の食品産業や観光関係など島の大黒柱の産業から大切なお客様がたちまち離れ去って行くことになるのは必至である。
 というのは、両河川には、食品・観光産業にとって最も嫌がられる屎尿処理排水や生活汚水など雑排水が大量に流入し、それがそのまま新しいダムに流れ込んでしまうからである。
 幾多の諸先輩たちが、長年培(つちか)ってきた島の主要産業に悪印象をもたらし、地形的にもこの事実を隠すことは不可能である。
 とても良い環境で生産されたと信じて長年にわたり愛用してくれた製品が、近年のこととはいえ、こんなことになっていたのか! 観光で訪ねた小豆島で飲食した食物に汚水が混入していたのか、という反感を買うことにならないように、県会議員の皆様方と国会議員各位には、この無茶な計画をぜひ中止していただきたい。
 小豆島としても、人と物資の出入りが減少すれば海上も陸上も便数が減り、廃止になるおそれもある。島内のみの人の動きや物流だけでは交通の足は維持できず、無人島へまっしぐら!になることは必定である。よって「島の灯は消える」ことになる。
(2011年9月)










寒霞渓から天然の良港・内海湾を臨む



新内海ダムの付帯工事を強行






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