■「自然と環境を守る全国交流会」参加団体


播磨灘を守る会









★発足の動機

 油汚濁と赤潮禍が極度に進んだ1971年7月、危機感を持った若手の漁師、労働者、学生たちが20人余り集まって、「播磨灘を守る会」が発足した。以来40年、海の水質の浄化、渚・干潟など沿岸の埋め立て防止と、遊んでいる埋め立て地の渚への復元(磯浜復元)に取り組み続けてきた。
 その間、赤潮訴訟、鐘化高砂工場のPCB(ポリ塩化ビフェニル)垂れ流し事件、三菱石油水島精油所のタンク破裂による大量の漏油(東瀬戸内海が油漬け)、出光石油やタンカー事故による油汚染、大阪ガスのLNG基地建設のための埋立て差止訴訟、揖保川流域下水道とその終末処理場反対闘争など、数多くの問題があった。


★播磨灘の現状

 過大な埋め立てによって渚に住む多様な生物を滅ぼし尽し、浄化力を失くした結果、播磨灘は1990年代に入って広範囲な海域で底層の貧酸素・無酸素の状況が深刻化した。2001年から2004年の、高砂市から赤穂沖までの平均の溶存酸素が4〜5mg/リットルしかない。特に夏場の沿岸域では2mg/リットルという惨状である。
 それにつれてタイ・サワラをはじめ、特にヒラメ・カレイなどの底ものの漁獲は激減し、水温の変化や海砂の採取(日生、牛窓沖の犬島の瀬)がからんでカタクチイワシ、イカナゴも大幅に減った。
 一方、産廃を大量に埋め込んだ網干の人工島(約100ha)では下水処理場、ゴミ焼却場などを作っているが、時折、ガス爆発を繰り返している。


★毎年の会の活動と今後の展望

 播磨灘を守る会の活動は、かなり広範囲に及ぶ。毎年春秋2回の海岸清掃、同じく春秋の海辺の生物観察会、全県同時大気汚染調査、冬鳥のウォッチング、各地の問題を抱える現場で住民と交流する「エコ・ツアー」、夏休みの子供たちが2日間、徹底的に海と付き合う「海のアドベンチャースクール」、問題ごとの小学習会(例えば原発・合成洗剤・有機農業など)等が年間の定例行事である。
 今後の展望については、はっきりいって展望はない。ご多聞にもれず、会員の高齢化が進み、若い人たちへの受け渡しができていないからである。
 CMでは、エコや環境という言葉が溢(あふ)れているが、現場の環境は悪くなる一方である。若い人たちはそのCMにだまされて、50年先自分の子や孫がどんな目にあうかを考えようとしない。これだけ異常な気象が続き、地殻の変動が激化し、生物の絶滅種が増えていても、そんなことに関心を示さない。また、その事実を警告する学者は、マスメディアも政府・行政も遠ざける状態では、展望の開けるはずもない。
 それでも、二度にわたる埋め立て危機を防いで守った「新舞子干潟」のラムサール条約への登録と、'73年制定の「瀬戸内海環境保全法」の改正だけは実現させたいと願っている。
(2011年9月)











播磨灘の水質・底質を調べる



海浜生物調査



磯浜復元モデルのイメージ図



磯浜復元モデルの側面図。海面を埋めておいて使っていない造成地
が瀬戸内海の各地にある。これを内側に削り込んで湾入させ、両端
に巨岩を置いて、5〜10年放置すれば自然に砂浜ができる。







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