「自然と環境を守る交流会」の講演(要旨)

リニア中央新幹線計画の問題点

弁護士  関島保雄さん






 リニア中央新幹線計画はマスコミなどであまり報道されていない。そのため、国民に伝えられないまま着工されようとしている。

 この計画は、東京の品川を出発して甲府、飯田、岐阜、名古屋を通り、最終的には大阪まで結ぶという構想である。リニアは、従来のように軌条(レール)の上を走るものではない。地上10cmを浮き上がって走るという方式である。最高速度は時速505kmという飛行機に近い高速で走る。

 リニアは、日本の自然の宝庫といわれている南アルプスを横断する。東京−名古屋間では、約86%がトンネルを走る。

 国土交通省は昨年(2014年)10月、JR東海が単独で建設費を出すということで、工事を認可した。工事費は、東京−名古屋間が5兆4300億円余、東京−大阪間は9兆3000億円余と試算されている。だが、こういう計画は、実際は2倍から3倍以上かかるというのが常識となっている。

 リニア中央新幹線はリニア方式であるため、駅で軌条方式の電車から降りて、さらに地下深くまで降りていってリニアに乗り換えることになる。このようにネットワーク性のない事業となっている。

 ドイツも、かつてリニアの開発にとりくんだ。ところが、あまりにも金がかかりすぎる。それにみあうだけの需要がない。さらにネットワーク性に欠けるということで、リニア開発を中止した。それなのに、日本はどうしてリニア方式をあえて採用するのか、という問題がある。

 リニアは日本の自然の宝といわれる南アルプスを横断するために、自然破壊や安全性など、さまざまな問題がでてくる。

 いちばん心配なのは、トンネル掘削による地下水の枯渇や流失による生態系の破壊、東京ドーム51個分といわれる膨大な残土の捨て場による自然破壊、大量の工事車両による騒音や交通渋滞など環境の悪化である。それに事故の場合の安全確保がされていない。

 そういうわけで、私たちは2016年の春ごろに裁判を起こそうと準備を進めている。行政訴訟になるので、2014年12月の段階で異議申し立てをした5000人の中から1000人ぐらい原告になってもらおうと考えている。サポーターも募集している。

 ぜひ、私が書いた資料を読んでくださり、こんどの裁判とリニア計画の問題点をまわりの人たちに広めていただきたい。よろしくお願いします。




関島保雄さん






★関連ページ

このページの頭にもどります
前ページにもどります

[トップページ]  [全国自然保護連合とは]  [加盟団体一覧]  [報告・主張]  [全国交流会] [リンク]
[決議・意見書]  [出版物]  [自然通信]